『福を呼び入れる福飴』
こんにちは。「毎日が和菓子日和」の和菓子ライフナビゲーター、デザイナーの梅の実です。
信州地方で新春におこなわれる「あめ市」をご存じですか。
今日は、 「あめ市」と、福を呼び入れる「福飴(ふくあめ)」をご紹介します。
「あめ市」の由来
「あめ市」の由来は大変古く、400年以上前の戦国時代に遡ります。
現在の長野県にあたる信濃は、かつて武田信玄の領土でした。武田氏と敵対関係にあった今川氏と北条氏が駿河からの塩の供給を停止したため、信濃の人々は大変苦しんだそうです。
そのことを知った、越後の上杉謙信は、武田氏と敵対関係にあるにもかかわらず、信濃に塩を送りました。これが「義塩伝説」として語り継がれ、「敵に塩を送る」という言葉のもとになったといわれています。塩が信濃に到着したのは1569年(永禄11年)1月11日。その後、毎年「塩市」が行われるようになり、時代が下るとともに「あめ市」となり、今に伝わっています。
「あめ市」の時期
- 1月から2月にかけて(地域により開催日が異なります)
- 松本市は、毎年1月の第2土曜、日曜
※ 2021年の松本の「あめ市」は、残念ながら中止になりました。その他の地域の開催状況は不明です。「福飴」を作っているお店をこのページで紹介していますので、お店や通販でお買い求めください。
「あめ市」の地域
「あめ市」は、松本市のほか、越後から塩が運ばれてきた「塩の道」沿いの各地(豊科、穂高、池田、大町、松川、会田など)で開催されます。
「あめ市」の内容
- 「福飴」や各地の飴の販売
- 「義塩伝説」に因んだ行事、神輿など
- 松本市内ではイベント的な要素が強くなってきていますが、郡部に行くほど、伝統的な装束や慣習が残っているそうです。
「福飴」のこと
「福飴」は、「あめ市」で販売される縁起菓子です。(製造元の飴店等でも販売されます)
「福飴」の内容(細かな意匠(デザイン)や味わい)は、販売するお店によって異なります。
「飯田屋製菓(飯田屋飴店)」さんの「福飴」には、「福良(ふくら)」、「寿入(すいれ)」、「福助」などの飴が入っています。
このページ(以下)のイラストの右上の白い飴は、塩が届いたときの喜びを表現した「寿入」。(飴の内側に、筒状の細かいス(寿)が入っています)
左下のふっくらとした飴は、越後の国から牛の背中に乗せられてきた、塩がたくさんつまった袋(塩ガマス)の形 をした「福良」。
中段が「福助」などの顔の飴です。新年には、干支の動物が入っていることも!時期により、組みが異なるので、お愉しみに。
(イラストの飴も、塩が届いた喜びが伝わってくる配置にしてみました!)
「飯田屋飴店」さんの「福飴」は、見た目の美しさにも、飴の概念を覆すような食感にも感動します。味わいについては、以下の記事をご覧ください。
「福飴」をつくっているお店
松本市内には、3軒の老舗飴店があります。
どのお店も創業約170年~350年の老舗 (2021年現在)。各店で飴づくりの伝統を守りながら、新しいチャレンジをしているステキなお店ばかり。
老舗の店主(職人)・・・というと、なんだか怖そうだと思うかもしれませんが、どのお店でも、気さくに飴のことを教えてくださいます。
それぞれのお店で、心がほっこりするような意匠の「福飴」をつくっています。 もちろん、各店自慢の飴もお忘れなく…。
通信販売をしているお店もあるので、お取り寄せをしたり、安心してお出かけできる状況になったら、お店も訪ねてみてくださいね。
※ (12~2月の期間・数量限定品ですが、期間に関係なく、商品が無くなり次第、販売を終了することもあります)
飯田屋製菓(飯田屋飴店)
- 創業:寛政8年(1796年)
- お店の場所:長野県松本市大手2-4-2
- 最寄り駅:中央本線 松本駅(徒歩7分)
- おすすめ:美しいあめせんべい、まめ板など。お店はギャラリーも兼ねています
- 飯田屋製菓のホームページ
山屋御飴所
- 創業:寛文12年(1672年)
- お店の場所:長野県松本市大手2-1-5
- 最寄り駅:中央本線 松本駅(徒歩7分)
- おすすめ:板あめ、引ネキ飴など。飴づくりの体験ワークショップ
- 山屋御飴所のホームページ
新橋屋飴店
- 創業:嘉永7年(1854年)
- お店の場所:長野県松本市新橋3-21
- 最寄り駅:大糸線 島内駅(徒歩11分)/ 中央本線松本駅から車で7分 / 徒歩30分
- おすすめ:砂糖の使われていない新橋飴、白玉など
- 新橋屋飴店のホームページ
今は、おうちで「福飴」を。じっと「福」を待ちましょう。
毎日が和菓子日和!