『早春の息吹の気配を感じる』
こんにちは。「毎日が和菓子日和」の和菓子ライフナビゲーター、デザイナーの梅の実です。
和菓子の意匠と銘を愉しもう!
意匠(デザイン)と菓銘のバリエーションの豊かさは、和菓子の愉しさのひとつです。
こちらのイラストは、4店の和菓子屋さんの「下萌」を、実際に味わい、描いたものです。
全て同じ「下萌」という銘ですが、違うことが一目でわかります。
白、緑、茶褐色…と、雪、草木の芽、滴る土をあらわす色の傾向は近いものの、使用する素材、製法、そして意匠(デザイン)は、職人さんにより異なるのが、実に愉しいです。
職人さんが御菓子に投影した「下萌」を感じることで、私たちの頭の中にも、それぞれの「下萌」の情景が浮かびます。
「下萌」とは
草花の芽が地中で春を待ちわびる様子。春がやってきていることを感じられない頃でも、植物は厳しい冬を耐え、生命力にあふれた新芽を伸ばしている…という頃を表現した意匠につける菓銘です。(年により販売有無や、御菓子の内容に変更がある場合があります。その時々の出会いをお愉しみください)
和菓子屋さんご紹介
各和菓子屋さんの「下萌」の意匠からは、暖かい春を待ち望む自然の息吹を、それぞれに感じます。
*販売有無や内容(素材、製法、意匠など)が、年により異なる場合があります。何卒ご了承ください
東京・富ヶ谷「京菓子 岬屋」さん
- 時雨仕立て
- 時雨の割れ目から、鮮やかな緑。大地の力強さを感じるような・・・。
- 映画「日日是好日」の重要シーンにも登場する御菓子
- ほろほろ、溶けるような・・・。
- 時雨の中に、こし餡
香川・高松「御菓子司 富久ろ屋」さん
- 浮島製
- 雪の下に緑が芽吹いているような・・・
- しっとり
- 富久ろ屋ホームページ
東京・神保町「御菓子処 ささま」さん
- 時雨製
- 雪の下で芽吹く準備・・・
- 白餡と小豆の漉し餡と蓬の入った餡
- ささまホームページ
香川・高松「湊屋」さん
- 軽羹製
- 雪の下で、小さな種が、春を待っているような・・・
- しっとり、小豆の羊羹がさくさく
- 湊屋ホームページ
暦の七十二候:土脉潤起(つちのしょううるおいおこる) 新暦の2月19日から23日頃
まさに、地面の下の息吹を感じる時期。「下萌」の御菓子を愉しめる時期です。
みなさんの街のお店では、どんな「下萌」に出会えるでしょうか。もし、和菓子屋さんで見つけたら、五感で味わってみてくださいね。
毎日が和菓子日和!(’20.2.23初回投稿、’21.2 追記・再投稿)