2019-06-06
EventReport:うつわと夜の梅
こんにちは。 和菓子ライフナビゲーターの梅の実です。
本日は、先日おこなわれた展覧会 「うつわと夜の梅」とトークイベント「羊羹のおはなし」について、レポートします。
「うつわと夜の梅」とは
老舗和菓子店のとらやさんと武蔵野美術大学 工業デザイン学科 陶磁専攻の学生がコラボレーションした企画展示です。
とらやさんの和菓子を題材にし、武蔵野美術大学の学生が ”うつわ”で表現をする課題を4年前からおこなっている企画です。
前回までは、華やかな上生菓子がテーマでした。しかし、今年のテーマはシンプルな羊羹 「夜の梅」。 菓銘にこめられた奥行きなどを、”うつわ”としてどのように表現したらよいのか、試行錯誤を繰り返してようやく完成した作品だということです。
「夜の梅」とは
とらやさんを代表する和菓子のひとつで、小倉羊羹です。羊羹の切り口の小豆を夜の闇に咲く梅に見立て、「夜の梅」という菓銘になったそうです。
「春の夜の闇はあやなし 梅の花 色こそ見えね 香やは隠るる」『古今和歌集』(春の夜の闇は無意味だ。梅の花の色が見えなくなってしまうが、その素晴らしい香りだけは隠れようもない。)
とらや 「夜の梅」 商品説明より引用 1
菓銘は、元禄7年(1694)の古文書に見ることができますが、形や原材料については書かれていません。羊羹としての最初の記録は文政2年(1819)です。また、文久2年(1862)には原材料に小豆、寒天などを記した文書が残り、この頃には煉羊羹としてつくられていたことがわかります。
とらや 「夜の梅」 商品説明より引用 2
菓銘は300年以上前にあり、150年以上前には羊羹としてつくられていたのですね。うっすらと夜の闇に浮かぶ白い梅、梅の香がふんわり漂う。当時の春の夜の風景を想像し、この「夜の梅」を味わうと、よりいっそう風情を感じられます。
味わいひとことメモ
- 甘味もやさしく、すっきりとしていて、とてもおいしい羊羹
- 先入観やこどもの頃の印象で「羊羹が苦手」というかたがいらしたら、ぜひおすすめしたい
「うつわと夜の梅 」の展示とイベントについて
イベントの内容
- 作品の展示:11名の学生さんの個性的で表現豊かな作品たち
- とらやの紹介 :とらやの歴史、羊羹を世界に!など(とらや 広報KS様)
- 羊羹や夜の梅にまつわるおはなし:菓子資料室の貴重な文献をもとにした興味深いお話(とらや 虎屋文庫のKK様)
- トークショー:とらやさんと学生さんの代表者によるトークショー。作品制作の苦労、お互いの気づき、感想など
- 「夜の梅」でお茶会:学生さんの作品である”うつわ”で「夜の梅」をいただく(たくさんのすてきな作品のなかから”梅の木“というTさんの作品を選び、使わせて頂いた。作者とお話できなかったのが残念)
- その他:各作品を紹介した冊子を頂いた。テーマにあったシンプルなデザインで読みやすかった
開催概要
- 展示場所:武蔵野美術大学デザインラウンジ(東京ミッドタウン・デザインハブ内)
- 展示期間:2019/5/31~6/2 に開催
- イベント:2019/6/1
- 来年以降、イベントに参加するには?:詳細不明ですが、東京ミッドタウン・デザインハブ(https://designhub.jp/)の武蔵野美術大学デザインラウンジのイベント情報をチェックすることをおすすめします(アートやデザインに関するイベントが随時開催されています)
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タグ: タイプ:老舗, とらや, ペアリング:珈琲, 和菓子と○○○, 和菓子と器, 地域:京都市, 地域:東京六本木地区, 地域:東京赤坂地区, 定番, 意匠:植物-梅, 武蔵野美術大学, 種類:羊羹ー小豆(練・蒸)
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