2021-02-27

季節を愉しむ和菓子(春)| 良弁椿(糊こぼし)

季節の和菓子 お水取り | 奈良 萬々堂通則 | 糊こぼし(良弁椿、東大寺、二月堂、修二会、春の和菓子)
季節の和菓子 お水取り | 奈良 萬々堂通則 | 糊こぼし(良弁椿)

『奈良の春を呼ぶ、伝統行事の御菓子』

こんにちは。「毎日が和菓子日和」和菓子ライフナビゲーター、デザイナーの梅の実です。

今回は、古都奈良に伝わる、春の風物詩の御菓子が登場です。

季節を愉しむ和菓子・春『良弁椿(糊こぼし)』」の由来や販売するお店などをコラムとイラストでご紹介します。

良弁椿(糊こぼし)とは

良弁椿」とは、奈良・東大寺の開山堂の庭にある椿のことです。

東大寺の開祖である良弁(ろうべん)の像が、開山堂に祀られていることから、「良弁椿(ろうべんつばき)」と呼ばれています。

また、赤に白い糊をこぼしたようなまだら模様の花びらなので、「糊こぼし」や「糊こぼし椿」とも呼ばれるようになりました。

毎日が和菓子日和 | 椿
椿のイメージ(写真は東大寺の良弁椿ではありません)

良弁椿(糊こぼし)御菓子の由来

3月初旬から中旬にかけておこなわれる「東大寺二月堂のお水取り」の前、2月の下旬頃に「花ごしらえ」という行事があります。

選ばれた僧侶たちが、黄色の花芯、赤2枚、白3枚の花びらをかたどった和紙を使い、「良弁椿」の造花をつくるのです。(使っている和紙も、市販のものではなく、職人の手染めなのです!)

これを、「東大寺二月堂のお水取り」の間、二月堂のご本尊の四隅に供えます。この僧侶たちにつくられた「良弁椿」の造花こそが、「良弁椿」の和菓子の意匠の由来です。なお、黄色の花芯は、黄味あんでつくられているお店が多いです。

東大寺二月堂のお水取り行事とは

天平勝宝4(752)年から始められ、一度も絶えることなく守り続けられているお水取り。「水取りや瀬々のぬるみも此の日より」と云われ、この行法が過ぎると奈良にも春が来るといわれております。

萬々堂通則さんの「糊こぼし」に添えられていた説明文より引用

1200年以上も前から続いている伝統行事。今、私たちが生きている時間は、その時代から紡がれているのですね。

奈良には紅葉や桜の季節に行くことが多いですが、いつか「お水取り」の時期にも訪れてみたいです。

良弁椿(糊こぼし)の和菓子を食べよう

奈良の和菓子屋さんでは、毎年2月頃から3月中旬の「お水取り」の時期に、「良弁椿」の和菓子がつくられます。

意匠は似ていますが、お店ごとにそれぞれ「お水取り」に因んだ菓銘をつけており、御菓子の味わいも異なります。

まず、今回味わった「萬々堂通則」さんの「糊こぼし」をご紹介します。

萬々堂通則さんの「糊こぼし」のご紹介

季節の和菓子 お水取り | 奈良 萬々堂通則 | 糊こぼし(良弁椿、東大寺、二月堂、修二会、春の和菓子)
味わいひとことメモ
  • 華やかな紅白の花弁が美しい
  • とてもやわらかく、繊細な御菓子
  • 全体的に、甘さを抑えてあるように感じる
  • 花芯の黄味あんが、すう・・・っと、口溶ける
  • とても品のある御菓子

趣のある、箱や包装紙もとてもステキです。

販売期間

2月上旬~3月中旬

萬々堂通則さんのこと
  • 創業:江戸時代末期
  • おすすめ銘菓:春日大社の神事でつかわれる「ぶと饅頭」、奈良に伝わる干菓子「青丹よし」
  • お店の場所:奈良県奈良市橋本町34
  • 最寄駅:近鉄奈良駅
  • 萬々堂通則ホームページ

良弁椿(糊こぼし)をつくっているお店

良弁椿(糊こぼし)の和菓子をつくっている、主な和菓子店と菓銘をご紹介します。(順不同)

本来であれば、現地で味わうのが一番ですが、一部のお店では、お取り寄せも可能です。美味しいお茶でもいただきながら、古都の春に想いを馳せてみませんか。

繊細な御菓子を運んでくださる、配送会社さんにも感謝。

和菓子カレンダーと御菓子

そして、こんな愉しみ方も・・・。

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