『ひなまつりも和菓子を愉しもう! 』
こんにちは。「毎日が和菓子日和」和菓子ライフナビゲーター、デザイナーの梅の実です。
今回の「歳時記と和菓子」は「桃の節句、ひなまつり」の和菓子をイラストとコラムでご紹介します。
ひなまつりが近くなると、和菓子屋さんの店頭では「ひなまつり」に由来する和菓子や、春を感じる和菓子を見かけることが多くなります。
みなさんは、どんな御菓子を思い浮かべますか?
“「ひなあられ」が大好き!”
“春だから、「さくら餅」と「うぐいす餅」を食べたい”
“男雛と女雛の「上生菓子」を買う”
”地域に伝わるお菓子がある!”
“菱形のケーキ?!”
「ひなまつりに由来する和菓子」
桃の節句、ひなまつりは女の子の成長を願い、お祝いする行事。様々な御菓子にその想いがこめられています。
- 菱餅:ひな人形に添えられる、菱形のお餅、行事食です。形には「心臓の形」や「菱の実の形に魔除けの意味がある」等諸説あります。また、もともとは緑色、それに白が加わり2色になり、いまでは、多くが赤、白、緑の3色になりました。地域によっては4色や5色の場合も。色の意味も「自然(例えば、桃、雪、草木)」や、「魔除けや幸福などを願う」ものが多く、細かくは様々です。さらには、並べる順序や意味も様々なので、実に多様です。もともとの素材は、お餅ですが、最近では上生菓子(練切やこなし)、羊羹などでつくられることが増えてきました。
- 桃を模した御菓子:中国神話の西王母がつかさどる不老長寿のシンボルとして、など。
- 蛤を模した御菓子:「3月3日におこなう行事で、神様へのお供えのお裾分けとして貝を食べるようになった」や、「蛤の貝は、最初の一対しかぴったり合わないことから、しあわせな縁を願って食べられるようになった」など、様々ないわれがあります。
- 草餅、蓬餅:よもぎの香りが、魔よけになるとも言われています。もともとは五行(春の七草のひとつ)でつくられていました。
- 引千切:ひちぎり、ひっちぎりと読みます。関西圏に比べると、関東ではあまり見かけません。形の由来は“餅を丸める手間を惜しんで千切ったから…”、“あこや貝の形”、“流し雛”、いくつかの意味があわせったものなど、色々な謂れがあります。
- 地域のひな菓子
- 愛知(三河地域):いがまんじゅう
- 愛知(尾張地域):おこしもん、おこしもの
- 石川(金沢):金花糖
- 京都:引千切
- 長崎:桃カステラ
お住いの地域に、ひなまつりにしか見かけない、珍しい和菓子があったら教えてくださいね。いつか味わってみたいです。
イラストに描いた和菓子をご紹介
こちらは「ひなまつり」の時期に、6店の和菓子屋さんで出会った御菓子を描いたイラストです。
それぞれの御菓子の味わいと、御菓子の由来などを、さらに詳しくご紹介しています。
*販売有無や内容(素材、製法、意匠など)が、年により異なる場合があります。その時々の御菓子との出会いをおたのしみください。
愛知・名古屋「川口屋」さんの「引千切」
東京・文京区「和菓子司 一炉庵」さんの薯蕷饅頭(桃形)
和菓子司 一炉庵」さんの「菱餅」
東京「和菓子処 花鳥風月」さんの「引千切 」
「とらや」さんの「蛤形」
東京「まほろ堂 蒼月」さんの「草もち」
たくさん食べられないけれど、「ひなまつり」の雰囲気を感じたいときには、お雛様を模った干菓子などがおすすめです。
「ひなまつり」にも和菓子を愉しみましょう!
毎日が和菓子日和!(’20.3.3 初回投稿、’21.2.28-3/1更新)