
『心と心をつなぐ、おはぎ』
こんにちは。「毎日が和菓子日和」和菓子ライフナビゲーター、デザイナーの梅の実です。
今回は、「お彼岸」に食べる和菓子の代表選手「おはぎ(ぼた餅)」をご紹介します。
なぜ、お彼岸に「おはぎ(ぼた餅)」?
小豆の赤い色には「魔除け」の意味もあり、一年の様々な行事などであんこを使った御菓子が用意されます。お彼岸も同様の意味をこめて、食べられるようになったと言われています。
また、「あんこ」と「もち米」を合わせてつくるので、ご先祖さまと私たちの心を合わせる(つなぐ)意味もあるそうです。「お彼岸」には、こちらの説のほうが、すてきだな、と思います。お墓参りをして、ご先祖様のことを思いながら、おはぎ(ぼた餅)を味わい、この世に存在するありがたさや、ご縁を感じるひとときを過ごすのもよいですね。
おはぎ?ぼた餅?違いはなに?
「おはぎ」と「ぼた餅」の違い・・・。色々な説があるのですが、いくつかご紹介したいと思います。
1.大きさの違い
- 「おはぎ」は小ぶり
- 「ぼた餅」は大きめ
うん。たしかに、そういうイメージもある。あんこをからめたお餅を「ぼた餅」と呼んでいるお店もありますね。
2.形の違い
- 「おはぎ」は俵型(萩のように細長い)
- 「ぼた餅」は丸型(牡丹のように丸い)


3.あんこの違い(小豆の時期の違い)
- 「おはぎ」はつぶあん(新豆を獲れる秋は、皮も丸ごと食べるつぶあん)
- 「ぼた餅」はこしあん(豆が固くなってきた春は、皮を取り除いたこしあん)
今の時代は、一年中つぶあんをつくれるようになりました。品種が改良のおかげだそうです。
4.季節による呼び名の違い
- 「ぼた餅」:春
- 「夜船」:夏
- 「おはぎ」:秋
- 「北窓」:冬
春の「ぼた餅」は牡丹、秋の「おはぎ」は萩・・・と、季節の花になぞらえています。では、「夜船」と「北窓」は?
おはぎ(ぼた餅)は、もち米の形を残した(お餅にはしない)状態でつくります。そのため、餅をつく必要がなく、「つき知らず」呼ばれます。
そこで、「いつ着いたのかわからない」にかけて「夜船」となり、「北の空には月がみえない」ことから「月知らず」が「北窓」となりました。言葉遊びの面白さを感じますし、なにより風情がありますよね。
その他、色々な説があります。また、季節によって呼び方や、餡や形を変えるお店、名前を統一しているお店(おはぎが多いですね)など、多様です。
さらには、「おはぎ」は、もち米を完全には潰さないので「半殺し」と呼ぶ説は、有名です。ちょっと物騒ですが、いろいろな説を愉しみたいなぁ・・・と思います。
おはぎを食べよう
多くの和菓子屋さんでは、春と秋のお彼岸入りからお彼岸明けまで、「おはぎ(ぼた餅)」を販売しています。あんこをたっぷりと使った「おはぎ(ぼた餅)」だからこそ、こだわりの自家製餡のお店のものがおすすめです。
そして、「おはぎ(ぼた餅)」を一年中味わえる「おはぎ専門店」が全国各地にあります。老舗の名店に加え、最近は、変わり餡などを使った、新しい感覚のおはぎをつくるお店も増えてきました。店主のこだわりが感じられる、手作りのものがやはり美味しいです。
以下でも、おすすめの「おはぎ」を少しご紹介しています。どうぞ、ご覧ください。(手描きイラストゆえに、未公開のものが多数あります。少しずつ増やしていきますね)
毎日が和菓子日和!
(余談ですが、今回のコラムを書きながら、母のつくる「おはぎ」も食べたくなってきました)