『もしも昔、富山の港にバームクーヘンが伝わっていたなら』
こんにちは。「毎日が和菓子日和」の和菓子ライフナビゲーター、デザイナーの梅の実です。
和菓子の背景には、その和菓子が世に生まれたストーリーや職人の想いがあります。それも和菓子の魅力のひとつです。
「引網香月堂」さんの銘菓「よごと」が生まれた背景を、紙芝居的な絵と文で表現しました。(2020年3月7日の「旅するいっぴんいち(中止)」に参加して、たくさんの方に「よごと」の魅力をお伝えする予定でしたが、時節柄、イベントが中止になりましたので、伝えたかったコトを表現しました)
その魅力が、より多くの人々に届くことを願って…!
このお話は、「引網香月堂」さんが「よごと」を開発する際に 創作されたストーリーを基にし、解釈した内容を、絵と文で描き起こしたものです。
「引網香月堂」さんのご主人にもお目通しいただき、問題のないことを確認しています(文中のセリフなどは公式なものではありません)
どうぞ、お愉しみください。
「よごと」のストーリー
ある日、富山県高岡市伏木の港町に店を構える
和菓子処「引網香月堂」の菓子職人は考えた
「もしも、昔、富山の港にバームクーヘンが伝わっていたなら?」
ある日、遠い国から越中(富山)の港に船がやってきた
船から届いた不思議なお菓子
その名も「バームクーヘン」というらしい
木の切株みたいに層がある
なんだこれ?
何十年も菓子職人をやってきたけど、こんなの今まで見たことがない!
菓子職人は、街のみんなと分け合い、食べてみた
なに?これ??美味しいぞ!!!
たちまち港に届いたバームクーヘンは無くなった…
美味しかったバームクーヘン
菓子職人は、バームクーヘンをつくることに決めた
どうやら、街のみんなも心待ちにしているようだ
しかし、、、、
材料はなに?
この層はどうやってできてるの?
菓子職人にも全くわからない…
菓子職人は、この越中(富山)の港で手に入るものでつくることを決めた
国内でつくられた黒糖
甜菜糖
越中(富山)産の米粉
そして、麹からつくられる甘酒
菜種油…等々
もちろん、道具も持っているものを使う
菓子職人は、持ち前の技術と工夫で開発を続けた
月日は流れ、
ようやく出来た!
越中(富山)のバームクーヘン
この国ならではのバームクーヘン!
では、この菓子に名前を名付けよう
越中の港のバームクーヘン…?
いやいや、この国の菓子ならば銘はとても大切だ
そう、ここ越中(富山)高岡の伏木は
万葉集の代表的歌人である「大伴家持」のゆかりの地
ならば、万葉集の「大伴家持」の歌に因んだ銘をつけよう!
新しき 年の初めの初春の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)
大伴家持が詠んだ
万葉集の終焉歌であるこの歌
その意味は
“新年に降る雪のように、吉事(よごと)が降りかかってきますように…”
歌が詠まれた奈良時代
新年に降る雪は、縁起がよいものとされていたのだ
越中の港のバームクーヘン の名は
「よごと」
菓子職人は、そう名付けた
積み重なる 雪の層のように 食べる人に吉事(よごと)がありますように…
と、心を込めて菓子をつくる
積み重なる層が美しい「引網香月堂」の「よごと」
これが「引網香月堂」さんの「よごと」のストーリー
和菓子の背景にはストーリーがある
それも和菓子の魅力だ
引網香月堂さんの「よごと」を五感で味わってみませんか
「よごと」に込められたストーリーを
大切な誰かと味わいませんか?
食べたら、きっと、吉事(よごと)が積もっていくでしょう…!
バターなどの乳製品、そして小麦粉は使っていない
手に入る、信頼できる食材のみを使っている
白あんに米粉、菜種油に黒糖、甜菜糖
隠し味に岩塩を少し…
ふわっと麹(甘酒)が香り
歯ごたえには、層を感じる
そこに旨味が凝縮しているような…
味わい深い、越前(富山)の御菓子
「よごと」
パッケージもすてき
催事等では、通常サイズの「プレーン」の他
「ハーフサイズ」や「抹茶」「カカオ」味も販売されます
いずれもおすすめ!
引網香月堂さんのこと
- 創業:大正8年(1919年)
- 梅の実のひとこと紹介:富山県富山市古沢に本店、富山県射水市に小杉店 、高岡市に伏木店を構えています。即興で菓子のテーマを組み立て、美しく、気品のある和菓子を生み出す凄腕の職人さん(四代目のご主人)がいらっしゃることでも有名。直営店で開催されている「蒸したて家持まんじゅうの日」は毎回朝から大盛況。夏はかき氷も人気。どの和菓子を食べても美味しい!ちなみに、お店のスタッフさんの制服もかわいい
- おすすめ銘菓:万葉の梅、家持まんじゅう、よごと等
- 引網香月堂さんの和菓子を買える場所: 引網香月堂さんの各店舗のほか、一部の和菓子は高島屋など一部百貨店にて定期/不定期/曜日限定/期間限定などでお取扱いがあります。ご利用の際はご確認ください
- お店の場所: 富山県富山市古沢111-3
毎日が和菓子日和!