『3本線に意味はあるの?』
こんにちは。「毎日が和菓子日和」和菓子ライフナビゲーター、デザイナーの梅の実です。
今回は、滋賀県の郷土菓子「糸切餅」をショートコラムとイラストでご紹介します。
糸切餅とは
「糸切餅」は、棒状に細長く延ばしたお餅を、糸で食べやすい大きさに切ったお餅のことで、あんこやきなこをまぶして、お盆やお彼岸などに食べる習慣のある地域があります。
今回ご紹介する「糸切餅」は、滋賀県の琵琶湖の東側、彦根市の少し南に鎮座する「多賀大社」の門前菓子です。つくりかたは同様ですが、真っ白い餅の表面に青、赤、青の3本線があり、餅の中にあんこが入っているのが特徴です。
「糸切餅」のルーツ:3本線に意味は?
さて、「糸切餅」の青、赤、青の線にはどんな意味があるのでしょうか。
なんと「蒙古(現在のモンゴル)の旗印」なのだそうです。
鎌倉時代(北条時宗の時代)に2度にわたって蒙古が襲来(元冦)した時に、台風のおかげで、刀や槍などの武器を用いずに襲撃から逃れることができたそうです。
その時の嵐を神風と考え、「蒙古の旗印」の模様のお餅をつくり、お供えをしたことがはじまりだと伝えられています。
平和を意味するお餅だからこそ、刃物を使わずに糸で切る「糸切餅」なのです。(江戸時代に子供の幸せを願ってつくられたという説もあるそうです)
下の画像は、「多賀や」さんの「糸切餅」のパッケージです。ルーツを知ると、なるほど!!蒙古襲来の船の様子が描かれています
「糸切餅」の特徴と味わい
もち米ではなく、米粉100%でつくった真っ白な餅には、シルクのような光沢があります。その表面に青、赤、青の線。
やわらかな食感でほんのり甘みがあります。中には、なめらかな漉し餡が入っています。美味しさに加え、一口サイズなので食べやすく、ついつい、パクパク食べてしまいます。
「糸切餅」を食べよう(つくっているお店)
添加物を使用していないので、日保ちがせず、滋賀県外で見かけることはほとんどありません。
見た目は似ていますが、もちろん、味わいがつくっているお店により異なります。今後、滋賀の湖東地域に出かけることがあれば、ぜひ、出来立てを食べ比べてみてくださいね。
(順不同)最新の製造状況は、お店にご確認ください
- 莚寿堂本舗
- 創業 1879年(明治12年)
- 初代から代々女性が引き継ぎ、現在6代目。糸切餅の天ぷらや季節の糸切餅も味わえる
- お店の場所:滋賀県犬上郡多賀町多賀599
- 莚寿堂本舗ホームページ
- ひしや
- 創業 1890年(明治23年)
- 職人が丁寧に菓子づくりをしています。今でも三味線の弦でお餅を切っています
- お店の場所:滋賀県犬上郡多賀町多賀711
- ホームページなし
- 多賀や
- 創業 1951年(昭和26年)
- 店頭に大きなしゃもじの看板がある。古き良き伝統を継承しつつ、新しいものも取り入れていく『不易流行』の姿勢で菓子づくり
- お店の場所:滋賀県犬上郡多賀町多賀601
- 多賀やホームページ
毎日が和菓子日和!